フィフティーン
成功者となってしまった彼は言う。
『行きたい島を見つけたら、どうにかして辿り着くよう努力するだけ』
私とは順序が逆だな、と思った。
私は先に水面に漂う術を決めてしまう。そしてその術で行き着く島を探している日々だ。
なら今、流れつこうとしている島は?
そこに上がるには、全てを捨て身軽にする必要があるのだ。
何となく行き着いたその島に、骨を埋める覚悟はあるのか?その価値は?
予想外れの曇り空で、隠れてしまった月を眺めながら。その島からもまた、同じように月を眺めながている一つもがいる。
そんな短文、呟くだけで充分なのに。
夏の春風
後悔が思い出に変わる時
あの曲が、失恋ソングではなくラブソングに聞こえた。本当によく出来たロジックだ。来世はミュージシャンではなく、政治家にでもなるといい。
桜並木の思い出は、文字に起こすと簡単だが
朝日に照らされたあの映像は、テラスから手を振っていたあの顔は、忘れるのは難しい。
たらたらたらたら
burn notice
人生とは地獄だ。
今さらながら、それに気付いた。
まともに生きるならまだこれが倍以上続くことになる。ならばいっそ終わらせるべきなのだろうか。
書くことで楽になるのであれば、書く。
それがリプライされずにリツイートされずに誰の目にも留まることもない戯言でしかないのなら、いっそその辺の紙クズに書き吐いて捨てても何も変わらないのだ。
DATE
あの日の想ひ出を。思い出の場所で。
次から次へと私が思いついたデートコースは、全て思い出の場所だった。
元来、企画運営がすこぶる苦手な私だが、
あの日はまるでプレイボーイに見られていたに違いない。
ただ、狂ったように思い出の上塗りをしていただけの、デートという名の旅。
ある意味この子が本命だった?笑わせるな。
すっぴんを見るまでは信じるな。それは10年前にも学んだことだろう?ただ、お互いの居心地が良いだけ。
あれ?じゃあ俺は何を求めてるんだっけ?
ただいま
少し長い旅路だった。
現実という名の世界で、
人生という名の道を歩いてきた。
隣に居たソレは、確かに存在していて
でも幼い頃に見た理想とは程遠くて
その行く末を本当は容易に予想できていたくせに、まるで未知の旅路のように彷徨い続けて1年半。あるいは、もっと長かったのかもしれない。
永遠を誓ったはずの旅は、ある日突然終わりを告げた。月並みな表現しか出来ないが、本当に突然終わりを告げたのだ。
そして俺は戻る。
理想の声。
理想の顔。
理想の体。
全てが揃った自分の世界に。
好きな時に声を聞いて、好きなだけ眺めることが出来て、決して自分を傷付けることもない。
嗚呼、なんて素晴らしきかな。
また今日も、夕暮れと共に現実を放棄し
自らの殻に戻るのだ。
ただいま!
J-POPの最高峰達へ
楽しむこと。それは難しい。
楽しませること。もはやわからない。
死ぬまでドキドキしたいか?
死ぬまでワクワクしたいか?
目の前の苦痛は、哀しみは、どうする?
愛とは、意外と近くにある物?
違う。
最も近いからこそ、愛が生まれるのだ。
色んな角度から見てしまえば、愛してしまう。
が、それを見ているのは自分だけだと思うな。
これで終わりにしよう、でもこれを乗り越えていこう。何も知らずに、そんなことを呟いた中学生の私に会えるのなら、今の私は何を助言出来る?
それは、自分を神だと勘違いしたキリスト信者よりも傲慢な考えだ。
我々は何も出来ないミノムシなのだ。自分で選んだ道すら真っ直ぐに歩けない。
いつか訪れる、全てを捨て去りふっと去る時。それまでどうか、お達者で。
ピース
青春の群像を追い、目の前の真実を放置。
この結果は至極当然ではあったが、やはり文字を見てしまうと否が応でも後悔のNEN。
開いてはいけない禁断の書だからこそ、人は開いてしまうのだ。どんな真実であれ、確かめずにはいられないのだ。
果たして私に、彼女を責める資格などあったのだろうか?
どんなに鮮明な思い出も、文章にしてしまえばそれだけなんだな。
本棚から欠けていた最終冊を、もし見ることが出来るのならば、私はまた人を愛することが出来るのかもしれない。
叶わぬ夢だが、ふとそう思った。