ただいま
少し長い旅路だった。
現実という名の世界で、
人生という名の道を歩いてきた。
隣に居たソレは、確かに存在していて
でも幼い頃に見た理想とは程遠くて
その行く末を本当は容易に予想できていたくせに、まるで未知の旅路のように彷徨い続けて1年半。あるいは、もっと長かったのかもしれない。
永遠を誓ったはずの旅は、ある日突然終わりを告げた。月並みな表現しか出来ないが、本当に突然終わりを告げたのだ。
そして俺は戻る。
理想の声。
理想の顔。
理想の体。
全てが揃った自分の世界に。
好きな時に声を聞いて、好きなだけ眺めることが出来て、決して自分を傷付けることもない。
嗚呼、なんて素晴らしきかな。
また今日も、夕暮れと共に現実を放棄し
自らの殻に戻るのだ。
ただいま!